標津町の男性職員(当時24)が過度の時間外労働による心理的負担から昨年7月に自殺したと結論づけた第三者調査結果は「同町で多くの職員の長時間勤務が常態化している様子がうかがわれる」と指摘。町側に勤務状況の早急な改善を強くうながした。背景には、北方領土問題の啓発事業の一環として同町はじめ周辺自治体を訪れる修学旅行の急増など、地域特有の要因もある。
亡くなったのは、北海道教育大学釧路校を卒業して2017年4月に町役場に入った鈴木雄大さん。町の依頼によって中標津町の梅本英広弁護士がまとめた調査結果には、鈴木さんの商工観光課で対応した教育旅行の町への受け入れに関する膨大な作業量が詳細に記されている。たとえば昨年4月の人事異動後に鈴木さんが対応しなければならなかった学校などの予定受け入れ団体は22、受け入れ人数2443人に上り、旅行会社などの連絡先だけでも14カ所に及んだ。
しかも、こうした団体からの照会は人数の変更、参加者の部屋割りやアレルギー対応、食事の予約・料金、食事会場・風呂場の詳細、催しの日程調整など極めて多岐にわたった。「案件はばらばらで個別の対応を要し、業務量は1人では完了できないものだった」と調査結果は指摘した。
にもかかわらず、元上司が鈴木さんに残した引き継ぎ資料は「後日、個別に引き継ぐこととしたい」といった記述が多く、町役場に入って3年目の鈴木さんに対するものとしては、きわめて不十分だった。さらに調査結果は、上司も引き継ぎの不十分さを認識していたが抜本的な改善策をとらず、他の職員からも支援、協力を受けることはなかった、との見方を示している。
また近年は、北方領土問題を若…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル